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【オーランド1の暇人日記から】 | ||||||
第四弾 「世界遺産エバーグレイズとマイアミ紀行」 | ||||||
まだ、西の空にかすかに星の残る頃、オーランドを出発した。 有料高速道路「フロリダ・ターンパイク」(通称:ターンパイク)で南下を始めた頃、夜は一気に明けて来た。 起伏のまったく無い道が、一直線に緑の地平線の向こうに消えている。 車は時速120キロで、黙々として、淡々と走り続ける。
マイアミまで4時間程度のドライブだが、多少のスピード違反を加えると、3時間半ほどで走り着く。 延々と続くオレンジ畑の、その向こうが、また、オレンジ畑。 ひがな一日、草を食む牛の群れの、向こうにも、また、牛の群れ。のどかな田園風景である。 単調な景色だが、何か底知れないエネルギーを感じさせるのが、アメリカらしい。 ターンパイクには、所々にサービスエリアがある。 その看板に、曰く“きれいなトイレあります”。 前回、サービスエリアに立ち寄ったところ、この“きれいなトイレ”は、工事中で、屋外に設置された小汚い簡易トイレを使わされた。 ターンパイクの、サービスエリアは、対向車線との中央に在り、南北両方向から同じ施設を利用するので、その時は、 当然復路も、小汚い簡易トイレだった。 現在は、改装されて(一部まだ改装中だが)文字どおり“きれい”になっているが、以前はこの看板を見てトイレに行くと、 十年も前の見合い写真に釣られて、見合いの席に着いたような気がしたものだった。 このサービスエリアは、マイアミまでの間に五ヵ所を数えるが、中のテナントや、売られているものは、全く同じ。 景色に変化が無ければ、サービスエリアも変わり映えがしない。 長い長い、金太郎飴の中を走っているようなものだ。 いつものように、スターバックスのコーヒーと、デニッシュで軽い朝食を取る。 どう言う訳か、ターンパイクのスターバックスに働く店員は、押しなべて愛想が悪い。 それに引き換え、ギフトショプの店員は、実に愛想がいい。その分、無駄話も多い。
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マイアミ、人口200万人余、フロリダ州第一の都市である。 アメリカ第一級のリゾート地であり、屈指の観光と金融の都市でもある。 ダウンタウンから、マイアミ港を右に見て、マッカーサー・コーズウエイを渡ると、マイアミ・サウスビーチになる。 数多くのオカルト的な逸話で知られる“バミューダ・トライアングル”の一角だとも言う。 十数年前までは、見る影も無かったこの辺りも、今では、有名なアール・デコ(アート・デコとも呼ばれる)地区が在り、 マイアミでも、 最もお洒落な繁華街となっている。 その繁華街の一画に、取り残されたように佇む「ベルサーチ」の豪邸は、まるで、おもちゃ屋に飾られた紳士服を見る思いがする。 「ベルサーチ」が、玄関先で非業の死を遂げた頃は、花束を飾る人も多かったのだが、現在は、格好の記念写真スポットである。 しかし、このマイアミ・サウスビーチの売り物は、何と言っても、やはりビーチだろう。 広々とした砂浜は、延々と続き、その晴れた日の海の色は、例えようもなく、美しい。 今も、砂の白に、海の藍と碧のコントラストは、見事で、圧倒的に素晴らしいのだが、沖の向こうに、錨を下ろしている、 貨物船は、 高級レストランに迷い込んだハエのように、実に無粋である。 ここが“バミューダ・トライアングル”の、一角と言うのならば、あの貨物船も、なんとか、消して欲しいものだ。
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マイアミの沖、ビスヶイン湾、その南寄りに位置する「ヴァージニア・キー島」には、有料の橋、リッケンバッカー・コーズウエイで渡る。 この島の、ヨットハーバーにあるレストラン“ラスティペリカン”はマイアミで、私が気にいっているレストランの、一つである。 味はともかく、景色がいい。 ここから、ビスケイン湾越しに眺める、マイアミ・ダウンタウンは、絶景である。 刻々に変化する雲と、どこまでも静かな海の間に、立ち並ぶビルの群れは、見飽きる事がない。 この、レストランの味には、全く期待していないので、もっぱら、無難なコーヒーと“ラスティペリカン”特製の、 「ボンゴレ風シーフードパスタ」を、メニューも見ないで、注文する。 今回も、また同じものを、注文したら「最近メニューを変えたので、もうそれは無い」と、言われた。 まぁ、期待もせず、無難なだけで、頼んでいた「食べもの」だから、執着もない。 ウエイターに、何か他の「シーフード系のパスタ」を、と言うと、「カニとロブスターのクリーミー・ペンパスタ」を薦められた。 どうせ、景色を食いに来たようなものだから、お薦め通りの「食べもの」を注文する。と、このウエイター君、その料理が、 この店で如何に人気があって、どれほど美味しいかを、得々と説明し始めた。 人口の七割以上が、南米系と言うマイアミの事情を反映してか、ここのウエイターの英語は一様に訛る。 どのメニューに対しても、あれほどの講釈を並べているのだから、彼らの英語は、日一日と、巧くなるだろう。 一杯目のコーヒーを、飲み終わった時、注文の「食べもの」が出てきた。 手を付けてみると、何と、これが予想に反して結構いける。 たぶん、今日は、作り方を間違えたのだろう。
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総面積5,660平方キロメートルの、途方もなく広大な湿地帯は、ソーグラス(ノコギリ草)と呼ばれる菅の一種で、覆い尽くされている。 壮観である。 エバーグレイズの観光には、プロペラで走るエアーボートが、使われる。 大抵のエアーボートは、40〜50人乗りで、キャプテンと呼ばれる男が操舵し,この大湿地帯を、疾駆するのである。 誠に、爽快なのだが,時々止まって教育的な説明等をしてくれる時は、ムチャクチャ暑い! ワニでも居ようものなら、必ず、毎回止めてくれるのだが,ワニは、エアーボート乗り場周辺にも、ごろごろ転がっていた ので、乗船を待っている間に、充分観察し終わっている。 「暑いから行ってくれ!」 口元まで出た言葉を、人様の手前、丸めてグッと呑みこむ。 と、それが、汗になって出て来る。 また、ここには野鳥も多い。 冬ともなると、北からの渡り鳥で、野鳥の宝庫になると言う。 鳥たちの餌となる、小魚や、羽虫のたぐいが、多く生息しているせいだろう。 見ると、今も上空では、無数の鳥が舞っているが,その餌となる羽虫も、いっぱい飛んでいるはずだ。 羽虫と言えば、蚊が多いのには閉口してしまう。 毎年、100万人を超える観光客が、ここを訪れていると言うから,蚊も餌には、事を欠かないのだろう。
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「一言居士」とは 何事につけて、一言意見を言わないと気のすまない人のこと。 | ||||||
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